薄暮の捕り物

間パート先で一生懸命?仕事をしていたら、えらく蒸し暑い、やはり予報通り雨になるなと納得していたのだが・・・夜に入り雨どころかあの雷はなんだ?そこら中に爆弾が落ちたような、凄まじい音響、こりゃ〜ひょっとして竜巻でも発生するのではと、思わず身構えた。
 11月から猟シーズンとなり、私も昨年通り今は猪捕獲作戦突入モードに入っている、昨年は大口を叩いて一匹も獲ることも出来ず、皆さんのヒンシュクをかったので、今季は、それとなく、さりげなく猪を追っている毎日です(・・・と云ってもまだ10日目ですが)、まあ半月ぐらいは餌付けをしなければと、毎日食パン、焼き芋、柿、ヌカなどをせっせと運んでいる、現状態はせっかくの差し入れにもかかわらず、どうも狸メがご馳走にありついているようである、なかなか私の思いは伝わらないようである。
 今日夕方、曇り空、すでに夕闇、檻の設置場所は昼なを暗きジャングルである、さぞや空腹であろうとイノ御用達の焼きたての芋を出前していたら、手前10mの所で木々がガサガサ揺れている、なんだなんだ今出るなよと・・・思わず祈る、なんたって右手にヌカの入っているバケツ、左手は焼き芋で塞がっている、何の手物も持っていないのだ。
 おそるおそる眼を凝らして見た、なんと30Kg級のイノが足にワイアーを付けている、何とか脱出できないものかと無言でもがいている、焦っている?猪は賢いと云われるが、やはり畜生は畜生だ、冷静になって考えれば"みかん"の皮を剥くぐらいだから、ワイヤーを緩めることぐらいは出来ると思うのだが・・・。
 この"足くくり罠"猟期開始と同時に知人が仕掛けたものである、他人の罠では私が殺害するわけにもゆかず、早速電話、直ちに現場に急行するように告げたが 、なんと「今大島に居る」という、みかん狩りに行ったのか、魚釣りに行ったのか?知らないが、こんな重大な時に、そんな遠方に居てどうするのだ?・・・本当に待つ時間の長かったこと、昨夜の月は丸かったような気もするが雲空で真っ暗闇、上の方にお寺、眼の先は墓場、待つこと1時間、やらやっと現れる。
 さすがにこの人経験豊富、頭部にキャップライト、片手に槍、片手に角棒腰にナイフと重装備?直ちに角棒でイノを豪打、弱ったところをナイフで心臓一突き・・・さすがのイノも悲鳴一閃(これは嘘?)絶命、情け容赦のない一連の流れるような作業?・・・一瞬私は思った「心優しい私にこんな知人が居ていいものか?」心を許すまい、気をつけよう。
 直ちに近くの従兄妹の庭先を借りて解体作業に入る、作業も簡単ではない、こちとらタクアンの一本も切ったことがないのだ、見よう見真似で皮を剥ぐ、手伝ったのか邪魔をしたのかわからないが猪肉欲しさに?解体作業に2時間はかかった。

ここで一句

片手では拝みながらも皮を剥ぐ

・・・それにつけても、興奮した!!