前夜祭

 昨日は午後より祭りの段取りを総代四人で始める、神社裏の倉庫から神輿を運び出す作業、これがとても神聖なる神輿が休まれているような部屋でないのです、今にも雨漏りがしそうな天井、ガタガタで動きそうもない戸、見たところ、神輿の倉庫どころか、シロアリの住家。
 「こりゃ〜どうだ!!」と言いながら運び出す、なかなか重たいのだ、本殿まではわずかな距離だがフウフウーいいながらもやっと鎮座さす、木製品がなぜこんなに重たいのかと不思議だ、中を開けてみたい気もするが、そうもいかず、明日石段を担いで降りるのかと思うと気が遠くなった。
 掃除などした後、解散、夜七時から、ネクタイなど着用の上、上がって来いとの指令だ、今年になってからは数年忘れていたスーツ着用である、退職三年ともなれば腹部は嫌でも膨れ上がっている、まるで荒縄で縛った状態「痛った!!」総代が四年も続くので青山まで行かなければ・・・と思う、また明日の暑さを思うとぞっとするのだ。
 七時前に宮司到着、始まった、「タカマガハラ〜・・・なんとかかんとか〜マウス・・」と何回もやっている、われわれ頭を垂れてただ「はっは〜、ありがたい、お言葉・・」の状態、と、なんと蚊が数匹ブーンと飛び始めた、見れば私の手にも、隣のOさんの腕にも吸血の準備をしているではないか、ここでハタと考えた、この蚊をいかに始末するか、一応「あっちの血の方が美味い・・・ぞ」と頭の中で言ってみたが、蚊の奴は平等が基本みたいで、見境はないのだ、まさか祝詞の最中に手を打つわけにもゆくまい、これはスローモションで蚊を退治するべきだと、ゆっくりと手を打つが、スローモーションだと蚊も素早く逃げるのだ、三匹ばかり殺害、神の前での殺害はさすが気が引けた、。明日は香取線香を持参しよう。
 祝詞終了後、いつも直会ナオライをする、これが飲めない私には大変苦痛、つまり、一杯飲むのだ、車座になり飲む、どう見ても山賊の宴会だ、いまは車社会なのであまり飲まないようだが、昔は相当飲ん・・・違いない。
 拍手を練習していったが、本番ではやはり、いい音が出なかった練習不足だ、明日はいい音を出そう、私の頭は神のことなぞ何にも入ってない、こんなことでいいのか・・・天罰を受ける日も近い・・・もう充分受けているが・・・。